あきんどスシローが解説!「データ分析実践セミナー」セルフサービスBI

「回転寿司スシローが考えるデータ活用」

株式会社あきんどスシロー 情報システム室 坂口室長

 

【はじめに】

 スシローは、食材原価率は50% 利益は、ひと皿でおよそ5円しかない薄利多売

 そのため、システムに対し、コストメリットを強く求められる。

 全国に出店し、今では韓国にも出店。が、なぜか島根県だけにはお店がない。

【スシローのシステム概要】

 スシローのシステム「すし統合管理システム」

 例えば、スマートフォンアプリ、ネット注文アプリ、チェックインシステム、注文タッチパネル等がある。

 このすし総合管理システムは、①提供すべき寿司の量をコントロール、②寿司皿の個別管理、③お客様からの注文管理を目的とする。

 寿司皿の個別管理では、お皿のICチップを活用した自動排除システムは有名。

 キッチンからホールに出る出入口に読み取り機を設置

 鮮度管理として、原則350メートル流れると、自動排除する。

 また、ネタの札(サンプル札)にネタ名(例えば「まぐろ」)のタグがついており、ネタ札皿の後に続く皿が「まぐろ」と認識できるようになっている。

 キッチン内では、予約アプリやチェックインシステムのお客さんの着席状況、これまでの実績データをもとに、供給指示システムから、1分後と15分後の供給量の予測と指示があり、その指示をもとに寿司を握る。

 その他、タッチパネル・注文管理システム、またテイクアウトシステム等があり、商品の在庫状況をリアルタイムで連動するとともに、これらの注文データは、販売データとしてDBに蓄積されていく。

 また、スマフォアプリでは、席予約や「まいどポイント」の管理をしている。

【分析ツール】

 これらのさまざまなシステムの大量のデータをクラウド上に保管し、セルフサービスBI ツール「Qlik」で管理している。

 これまでは、売上データ等の分析は、エクセルのマクロを使用して分析していたが、画一的で単純な分析しかできず、データを十分に活用できていなかった。

 

 今では、店舗別、時間別、エリア別等、日付別など、多角的な分析が可能となった。

【分析の事例】

 1)提供時間分析

 注文を受けてから、提供までの時間の分析。

 空いている時間帯は、注文から1分から3分程度で提供。しかし、多忙時期(20時くらい)は、7分程度各店舗に分析し、店舗のキャパ・スタッフ配置分析(提供時間が遅い→キッチン内の効率化を図る) 

 2)メニュー別分析

 ネタにより、地域性や外的要因で、注文実績に違いが出る。

 「まぐろ」でいうと、中国地方、九州は、全国平均以下。

 また、同じ「まぐろ」でも、仕入れメーカーが違う。メーカーごとのマグロの売上や廃棄率を比較することで、品質の改善が図られる。

3)待ち時間の予測と実際の待ち時間のギャップ分析

 スシローアプリの待ち時間予測と実際の待ち時間を分析し、待ち時間のロジックの精度向上を図っている。

 その他、人事情報も管理し、組織の最適管理や部署ごとの課題抽出等にもデータ分析を活用している。

【データ分析する上で】

 データ分析は、思いつきで、データをドンドンかぶせていく。タブってもいいから、どんどん載せて行き、検討する。そういった面でも、簡単な操作でさまざまなデータを分析し、ビジュアル的に表現できるQlikは重宝している。エクセルのマクロでは、これだけ気楽に簡単に分析はできないだろう。

 今後は、席予約、チェックイン、注文データをもとに、顧客に合った情報をスシローアプリで情報を提供したい。また、現在は、顧客の属性が「大人・小人」しかないため、今後は男性・女性等の属性も収集し、分析できるようにしたい。

【質疑応答】

Q お客さんの滞留時間分析は。

A  ひと組平均40分くらい。実は、昔からあまり変化が無い。回転率はあげたいが、ここはなかなか手が出せない。

Q システム導入における課題は。

A 最初は、お試し版を導入し、徐々に広がっていった。特に障壁はなかった。

Q 提供時間分析において、最大15分かかっている例もあったが、そこはどう考えているか。

A    データ上、もっと深堀りは可能であり、時間のかかっているメニュー単体まで分析できる。しかし、あまり深堀してしまうと、キッチンのスタッフの個人スキルまで行ってしまうため、そこまではしていない。

Q その分析ツールは、全店舗で展開・使用しているか。

A 本部でQlikを使用しているが、各店舗では画一型な分析ツールを使っている。また、Qlikが使えるのは、情報システム、営業企画、マーケティング部門。担当営業までは公開していない。

Q 情報システム室が、システムづくりをしながら、分析も担当して行っているのか。

A 営業については、営業企画で戦略を練る。データの管理は情報システム室なので、連携して分析している。

Q 店舗独自の要因、コメント的な情報の収集は、どうしているのか。

A 店舗とエリアマネージャーとの電話会談を毎週しており、個別要因は、この電話で行う。アナログです。また、各店舗の改善依頼については、営業企画部から、各店舗に直接メールで指示。エリアマネジャーにも共有している。

【所見】

こういった分析ツールは、「多くのデータを、自由に分析できます」という触れ込みとなるが、ユーザー側にしっかりとした目的意識や具体的な分析結果の活用イメージしていないと使いこなせない。

また、分析手法やチャートの見方をある程度知らないと、ツールから出力したチャートからヒントや答えを見い出せない。

「連想技術」(一つの分析から、疑問や仮説を導き、違うデータを加え、分析を繰り返していく)という思考をユーザー側が持っていないと、せっかくのツールが宝の持ち腐れになる可能性が高い。

「ビックデータ」から「ビックインサイト」 インサイト→洞察力 

多くのデータから何を導くのか。そんなスキルが求められている。