人口減少社会における地域の諸課題と統計・GIS分析

平成29年9月13日に開催された「人口減少社会における地域の諸課題と統計・GIS分析」の参加報告レポートととなります。

各講演者の方のキーワード、ポイントをまとめていますが、経済統計等は明るくないため、聞き間違いや認識違い等がある可能性があります。その場合、適宜修正をしてまいりますので、ご了承ください。

 

講演1「静岡県における地域産業連関表の作成と利用」

静岡県 情報統計局 統計利用課 望月氏

 地域産業連関表の作成にあたっては、電力(発電ベースか、送電ベースか)、学校教育における越境通学と移出入の捉え方等の課題がある。

 利用促進として、経済波及効果分析ソフトを「統計センターしずおか」で提供

 一般用:過去のイベントのデータをもとに経済波及効果が推計できる。

 公共用:施設整備の経済波及効果が推計できる。

 観光用:(客数及び宿泊延数、旅行客の部門別購入単価、購入率をもとに経済波及効果を推計できる。

 また、統計利用課では、データサイエンティスト養成講座(県内自治体職員向け)や統計出前講座(県内学校向け)を実施。また、統計コンシェルジュを設置し、統計に関する問い合わせに対応。さらに、市町別、地域別での推計、分析も地元大学の協力のもと始めた。

 「なんとなく感覚で捉えていた県内の状況が、数字・データとして表現できる、知ることは面白い。政策を考える上でも使えるデータである」

 

講演2「法政大学日本統計研究所における市町村産業連関表の提供」

法政大学 菅氏

 経済センサス活動調査について、調査現場は「軽くして欲しい」、調査結果を利用する側は「もっと重くして欲しい」まずは、認知度を上げる。身近な地域(市町村)の分析に活用され、政策立案に寄与したい。潜在的ニーズを掘り起こす。

 市町村間の比較分析は有効だが、どこの自治体と比較した方が有効なのか、自治体側もわかっていない。

 簡便法を用いて、平成23年度産業連関表確報を経済センサス活動調査のデータを用いて按分・分割。他の調査結果・統計結果を取り込み、市区町村産業連関表を作成このデータを活用して、駅別のGDPをGISに表現した事例もある。

 「統計・分析データを活用したい ⇒ もっと細かい統計・分析データが欲しい ⇒となると、もっと細かい元データが必要 ⇒ もっと細かく調査しょう。データを利用するのも自治体、元データを出すのも自治体。利用と提供が好循環で回れば。」

 

講演3「港区における政策形成支援と統計活用」

港区政策創造研究所 新藤氏

 港区政策創造研究所とは、自治体シンクタンク。全国20個設置されている。

 所長+職員4名+非常勤職員 その他特任研究員

 「情報活用機能:情報収集と一元化」「分析・予測機能:分析予測と課題の発掘」「政策研究・形成機能:課題の先取りと迅速な対応」「人材育成機能:人材育成」

【大規模社会調査】

 高齢者、子育て、区民消費(タワーマンション在住の新区民)、商店街など実態調査や意識調査を実施。基本、外部委託はせず、研究所で調査設計、調査、データ分析、報告書作成の一連作業を行う。商店街・商店実態調査の詳細な紹介があった。

【分析支援】

 各部門からの分析・データの依頼を受けて、データや資料を提供。この依頼は近年増えている。また、アンケート調査の調査票の確認や結果の分析手法等の相談も。

例 合計特殊出生率の試算、GISにより分析、宿泊者数 等

「既存データの収集・分析×調査活動によるデータの創造=政策形成機能の向上」 

 

講演4「豊島区のGISポータル構築と業務の効率化」

豊島区 都市整備部 都市計画課 酒井氏

 GISには、業務に特化した管理型GISと、自由な発想で使用する汎用型GISに区分けできると思う。

 事例1 道路許認可業務を紙ベース地図からクラウド型WebGISへ。現在では、セキュリティ強靭化に合わせ、クラウド型から庁内ポータル型へ。

 事例2 道路台帳のインターネットGISでの公開。道路台帳のインターネット公開に向けて、取得率、存在率、要求率等をもとにニーズ調査を行い、道路台帳GISの公開にこぎつけた

 事例3 モバイル端末を活用した街路灯の点検業務。モバイル画面は、調査項目をシンプル化し、入力は全て選択制、写真の添付可能に点検状況は、ポータル画面で進捗管理している。実際の点検業務は、業務委託しているが、モバイル端末活用の点検業務に改善したことで、工期は55日→21日の約30日削減、費用は、700万円から380万円 約330万円削減。また、点検D結果(400本)をGIS分析し、通学路や商店街エリアと重ね、修繕優先順位を検討

 

講演4「GIS等を用いた札幌市の都市公園に関する分析」

札幌市 みどりの推進部 みどりの推進課 細江氏

 札幌市の都市公園は、計画的に整備し、箇所数は1位、面積2位。しかし、空白エリア、過密度・狭小など課題がある。

 課題1 空白エリア対策

 配置モデルと現状をGISにて分析 その結果、身近な公園の新規整備方針を立案

 課題2密集度・狭小対策

 管理費がかかるが、利用率が低い。これらもGISにて表示。

 地域ニーズに合わせた機能分担を検討するために、GISを活用。

 とはいえ、遊具の重複は発生しているため、遊具の適正量の検討。

 すべり台を例に、設置状況と250m誘致圏(250mバッファ)をGIS分析。

 その後、選定フローにもとづき、存廃判定を選定。

 これらの分析は、ArcGISモデルビルダーを活用し、モデル化し、自動計算。

 現状の都市公園の面積、人口密度等を重ねて、検証し、モデルを見直した。

 例 面積1000㎡以上、撤去後新空白地域の見直し等

 結果、削減効果は、保守維持費5億円。

 このすべり台存廃判定モデルを他の遊具でも活用でき、公園保守維持費の削減できる。

 

所 見

 国や自治体では、毎年さまざまな統計調査を行っている。しかし、その調査結果データを十分に活用できるのだろうか?!

 調査結果データそのものの精度、地域範囲、使い勝手等。データを活用する側のスキル不足。データ活用目的の不透明等々、さまざまな要因がある。今日の事例では、これらの課題を解決する取組みや実際の活用事例を知ることができた。

 また、これら統計データや行政データを用いたGIS分析やGISによる可視化等の事例を聴き、改めてGISの可能性を感じた。